新型コロナウイルスの体験を、組織カルチャーの変革に繋げる

新型コロナウイルスの影響で、国民の多くが仕事や生活に大きな影響を受けています。いつ終息するのか、そもそも終息とは何か、国民に対する支援内容はこれでいいのか… 自分のことだけでなく他人のことも含め、国(都道府県、市町村)からのメッセージや対策に、多くの方が思いを巡らせていることでしょう。
今朝(5/11)の日本経済新聞に、「内閣の指導力 評価低下」という世論調査の結果が掲載されていました。「政府と東京都・大阪府との意見の食い違い」「現金給付の決定過程の混乱」など、理由は様々だと思いますが、行きつくところは「現状が正しく伝えられているのか」「判断基準は何なのか」「自分たちの将来は…」ということの不透明さなのではないか、と感じています。政府が求める「行動制限」は「自粛」という言葉に委ねられ、一人ひとりの納得が前提である… だとすれば、正しい現状把握と明確な将来ビジョンがあってこそであって、自分たちが長いのか短いのかも、今どこまで来ているのかも、その先に何があるのかもわからない真っ暗闇のトンネルの中を歩いている状況では、不信感、自分基準の行動、他人に対する理不尽な批判などが起こるのも無理はないと、多くの評論家が語っている通りです。(一方、明確な現状把握と出口戦略の数値的基準を示した大阪府知事が同じ世論調査でトップの評価を得ていることも、納得感があります)

政府や知事のリーダーシップはさておき、テレビ画面に向かって憤りを感じていることを自分たちの組織に置き換えてみると、まさに当てはまっていたりしませんか?組織のビジョンを社員一人ひとりに伝えていますか?組織の現状を客観的に把握し、透明性をもって伝え、問題・課題を共有し、ビジョン実現に向けて何をすべきかを話し合っているでしょうか?「言ったってどうせ理解できない」「社員は指示したことをやればそれでよい」「現状の問題を共有したら、マネジメント側が槍玉に上がる(だから触れないようにしている)」「お給料さえ払っていれば文句ないだろう」などなど… 日本を代表する大企業を含め、多くの組織で耳にする言葉です。
私が以前勤務していた外資系企業は、明確なビジョンを共有し、四半期ごとに全社員に対して現状が直接伝えられ、組織の問題点をマネージャーと社員で共に解決する、という風土がありました。もちろん外資なりの悪い点も多々ありましたが、ビジョンやそれに対する現状確認、行動基準に対するコミュニケーションの質は、多くの日本企業のそれよりも優れていると感じました。

コロナウイルスの体験を、これからの組織変革に繋げましょう。デジタル化しかり、組織カルチャーしかり… 在宅勤務で通勤時間が減り、ニュースを見る時間の増えた社員たちは、もしかしたらテレビの前で「うちの会社の体質と一緒だなあ…」とつぶやいているかもしれません。(本間)