先日ある企業の担当者様との打ち合わせ時にリモートワークがこのまま続いた場合、オフィスのスペースを減らしていくべきか悩んでいるというお話をうかがいました。
緊急事態宣言の発令後、オフィスでの感染拡大を防ぐため、急遽、リモートワークが主体の仕事に変化していった中で、まだまだペーパーワークが残っていたり、担当業務の切り分けが曖昧だったり、同じ空間で仕事することで把握していたメンバーの業務を、直接見えなくなった中、どのように評価し報いていくのかなど、リモートワーク主体の働き方に移行するために、解決すべき課題が見えてきた企業も多いのではないかと思います。
自分の実体験としては、リモートワークが周囲に浸透したことにより、作業中に話しかけられ中断することがなくなり、目的のために集中して行えること、周囲もWeb 会議での参加が当たり前になり、移動の時間なく各種会議が自分の職務スペースから参加できることで、格段に時間効率と効果は上がったと感じております。特に満員電車での通勤が無くなり、身体的にも時間的にも負担が減ったメリットを強く話される方も多く、リモートワークの促進は企業によりスピードに差があれど進んでいくと感じております。
一方、オフィスで勤務することのメリットとして考えられるのは、同じ空間で仕事することで、非言語的な情報が共有できることでしょうか。
周りや、所属を超えた同僚が、どのような仕事をしているのか、どのような状態なのか。自分の上司やその上司が、どのような考えで仕事をしているのか、直接の会話がなくても、言動や振る舞いが漏れ伝わり、意図せず共有されることで形成される組織文化もあるかと思います。悪い文化なら無くなっても良いかもしれませんが、その組織の強みとなるような文化が、同じ空間を共有することで形成/強化されているとしたら、リモートワーク主体になることで希薄化する可能性もあるかと思います。
米GALLUP社の調査では、リモートワークとオフィス勤務の組み合わせが、従業員のエンゲージメントを高め、パフォーマンスが向上するそうです。最適な割合は、リモートワークが60%から80%とのことですので、週5日勤務だと、週4日がリモートワークで、週1日がオフィス勤務になります。自分の感覚的にも、週4日は自分の裁量で効果的に仕事を進めて、1日はオフィスに出社、対面でのコミュニケーションを図り、メンバーと様々な情報共有が行えると、組織としてのパフォーマンスが上がる、ということは納得感があると感じました。
オフィスで集まり、情緒的な情報も含め、同じ空間を共にして共有する。1日オフィスで集まるのが難しい場合には、リモートワークでも、「どのような考えで、そのような決断をしたのか」「なぜこのような成果物にしたのか」など、背景の情報も丁寧に共有することで、組織としての考え方や、価値観の理解を深めることが重要になってくると思います。
みなさんの会社でも、この機会を活かし、経営理念、ミッション、行動指針をあらためて振り返り、リモートワーク主体の働き方に変化したときに、どのような、価値観、行動指針が加わると良いのかを話し合い、自分たちの組織の理解を深めてみるのはいかがでしょうか。(山口)