ワークアウトの文化

ワークアウトと言えば、一般的にはジョギングやウォーキング、ジムでの運動などのことを言いますが、組織におけるワークアウトはGE(ゼネラルエレクトリック)が取り組んだ「業務の効率化のための活動」→「官僚主義を排除した組織文化を創るための活動」のことを指します。組織から贅肉をそぎ落とす、という意味では、運動のワークアウトと同じ目的のものとも言えます。

私はGEで15年間働いていましたので、数多くのワークアウトを体験しました。そのテーマやプロセスなどは様々でしたが、お作法としては共通の定義があり、①トップダウンとボトムアップの融合(トップがお題を示し、ボトム(現場)が解決策を提示する)②即断即決で動く③前向きに承認する というように、現場への権限移譲とスピード感(失敗してもいいので、やりながら考える)を重視したものでした。自由闊達な現場のアイデアにより成果を上げ、お客様に喜んでいただきながら、自分たちの仕事は楽になる… という、まさに理想的な組織文化を創るための取り組みです。

効用としては、現場社員の自律性が高まること、コミュニケーションが活性化すること、自分たちの力による問題解決を実感できること、リーダー育成、などが挙げられます。今でも「GE流のワークアウトを取り入れたい」というご要望は多いですし、ワークアウトという言葉を知らなくても、その手法を導入することによって「うちの社員がこのような成果を出すとは!」「モチベーションが高まった」「継続して実践したい」というリーダーや社員の声を多く聞くことができます。

私のコンサルティングのベースには、ワークアウトの考え方があります。トップのビジョンを受け止めながら現場の声を聞く、解決策はコンサルタントが提示するのではなく、現場の社員が検討する(コンサルタントがアドバイスするのはそのためのプロセス)、合意形成を重要視する、など… ワークアウトは1990年代の初めからGEで活発化しましたのでもう30年前の方法論ですが、古さは全くなく、むしろオンラインやリモートでコミュニケーションが薄れがちな時だからこそ、この文化を重要視すべきと言えるでしょう。

コロナ後を見据えた組織文化の変革のためにワークアウトを実践してみてはいかがでしょうか?導入事例は数多くありますので、ご興味のある方は是非お問い合わせください。(本間)