このタイトルを見ると、「何を当たり前なことを…」と思われる方も多いと思いますが、最近某全国紙の朝刊トップ記事で「国の政策、3割成果測れず 事業終了時の目標なし 検証を軽視」という見出しを目にし、衝撃を受けてしまいました。
簡単に記事内容のポイントを紹介すると、以下の通りです。
・毎年度の収支や進捗を記す「行政事業レビューシート」を点検したところ、21年度公表のシートで終了年度を明記している1405事業を調べると、32%にあたる444事業で終了年度の成果目標がなかった。(したがって定性的な成果検証しかできない)
・行政改革推進本部は「終了時の成果を検証できるよう目標を設定すべきだ」とするが、明確な指針はない。
何千億円という税金を使う国の事業で予算に対する成果目標がないとはどういうことか…ちなみに他国では、「政策の成果目標と達成度を毎年度議会に報告、成果が出なければ関連事業の予算を減らしたり、打ち切ったりする(米国)」「政府方針ごとに設定した目標や政策実施後の成果を議会に報告し、予算配分の判断材料にしている(フランス)」とごく当たり前のことを行っています。
企業においてはこんなにひどい状況ではないと感じますが、それでも自分が関わっている身近なところで見てみると、例えばプロジェクトの目標設定などであいまいに書かれているものが多く、指摘することが多いのは事実です。
昨年サポートした某上場企業の約20プロジェクトは、その定義段階で定性的目標設定によって多くが指導の対象となりました。また現在サポートしている某中堅企業の約10プロジェクトでも同様で、しかも手段が目的化(目標化)する傾向が強いため、「何のために(目標)その施策を実行するのか(手段)」を常に問いかけながら進めているところです。
目標があいまいなのは、もしかしたら日本人の特性(習慣?文化?)なのか?
例えば「ハイコンテクスト」(コミュニケーションや意思の疎通を図る時に土台となる言語や価値観が非常に近い状態)という特性によって、「言わなくてもわかるでしょ」的な習慣を生み、あえて目標を明確化する必要性を感じない(さらに言えば、目標を明確化することは自分の首を絞めかねないので、自然と避けることになる)状況に繋がっているのではないか。
例えば「階層主義」(日本人は上下関係を重視して仕事を行う)的な要素で考えると、来年の予算の承認を上層部に取るために今年の予算を(ムダに)使い切る、のような目的と手段の逆転現象が起き、いつの間にか予算消化が目標!なんてことになっているのではないか。などなど・・・ そのあたりはちょっと研究不足ではありますが、いずれにせよ、目標設定が重要であることは明白な事実です。
目標はSMARTに!
Specific:具体的に Measurable:測定可能な Achievable:達成可能な Related:(上位目標と)関連した Time-bound:期限のある
を意識しましょう。
「推進する」「強化する」「徹底する」のような、あいまいな表現でごまかさずに、誰もが同じ基準で評価できる明確且つ適切な目標表現にしましょう。
明確な目標を持ち、その達成がモチベーションの源泉となるような、仕事に対する健全な文化を持ちたいですね。(本間)